NEWS | サイエンス
2021.03.02 18:10
近ごろでは、電化製品やネットワーク機器などの多くが無線化しており、離れた場所から電気を供給する技術の開発も進められている。
そこで東京都市大学 総合研究所の石川亮佑准教授らの研究チームは、青色発光ダイオード(LED)と独自開発した太陽電池を用いた「光無線給電技術」を開発した。
今回開発した太陽電池は、「ペロブスカイト」と呼ばれる結晶構造の半導体を用いて、可視光のなかで高いエネルギーである青色の成分を効率よく電気に変換できる。
このペロブスカイト型太陽電池に、室内照明や薄型ディスプレーのバックライトに組み込まれている青色LEDの光を当てることで、光エネルギーの5分の1以上を電気に変換することができたという。
さらに、太陽電池と青色LEDに移動体を追尾する装置を組み合わせることにより、屋外で移動するスマートフォンや電気自動車などに対して光無線給電が可能になるそうだ。
また、脆く割れやすい従来のシリコンでできた太陽電池と違って、今回の太陽電池は軟らかく、曲面にも貼り付けも可能。シリコン太陽電池の製造には真空装置が必要だが、新型太陽電池は大気中での製造ができる。
ただ、現在のところ、長時間使用すると発電能力が低下するという欠点があるそうで、研究チームは、この新型太陽電池の変換効率の向上と長寿命化を目指した研究を継続。10年以内の実用化を目指して、民間企業と共同で移動体の追尾システムの開発にも取り組むことにしている。