NEWS | カルチャー / グラフィック
2021.01.18 17:17
2人のグラフィックデザイナーによる台湾のデザインスタジオ「O.OO」は、リソグラフを使って実験的な作品制作に取り組んでいる。こうした彼らの2年間におよぶ制作活動は、書籍「NO MAGIC IN RISO」にまとめられている。
ただし、書籍といっても読み物ではなく、画像の色分解の実験を通して彼らの徹底したリソグラフ研究を読者に披露するものである。
この本を完成させるのに要した日数は850日、大豆インキのチューブで74本を使用。15色を使い、リソグラフのマスターは660本、690,000枚の紙を印刷したという。
使用したリソグラフは2台で、4人がかりで完成。360ページからなるこの本で彼らが語りたかったことは「プロセス」の魅力だそうだ。つまり、印刷するというプロセスや経験は紙の上にはっきりと現れるわけではなく、ただこうした数字や言葉でしか示すことができないのだ。
また、色彩に関心をもつデザイナーやアーティスト、イラストレーターに使ってほしいそうだが、使い方は人それぞれ。この本はツールであり、誰かが使ってこそリソグラフという技術は魅力を放つのだ。それゆえ、この本のタイトルは「NO MAGIC IN RISO(リソグラフは魔法ではない)」なのである。