shushi architectsが改修した徳島県神山町にある
Sansanのサテライトオフィス神山ラボ「OMOYA」

▲ 写真:鈴木久雄

法人向けクラウド名刺管理サービスを展開するSansanは、2010年より徳島県神山町にサテライトオフィス神山ラボを設けている。その敷地には築70~100年ほどの古民家の母屋、納屋、牛小屋が程よい距離を保って建っているという。

3棟に囲まれた中庭には大きなサクラの木があり、魅力的な場所であったが、OMOYAのキッチン裏に面しているため、その魅力が活かされていなかった。

▲ 写真:鈴木久雄

また、家の北側に位置する玄関土間は薄暗く、来訪者は西側に駐車してKOYAとOMOYAの間を通り抜けてキッチンの勝手口からアプローチするため、玄関の役割を失っていた。

▲ 写真:鈴木久雄

そこで、吉田周一郎が率いるshushi architectsは、宿泊・研修棟である築約70年の「OMOYA」の居住環境を改善し、ワーカーが快適に過ごせるように改修を行った。

▲ 写真:鈴木久雄

▲ 写真:鈴木久雄

キッチンを新しいミーティングスペースへと改装。新しいOMOYAの玄関をKOYAとNAYAに繋がる中庭の桜テラスに開いた空間とし、玄関土間を新しい土間キッチンとすることで、滞在者にとって魅力的な居場所となるように役割の交換を行った。

▲ 写真:鈴木久雄

▲ 写真:鈴木久雄

▲ 写真:鈴木久雄

さらに、階段を東側の3畳寝室に納め、廊下や南寝室の壁を取り払い、単純な田の字型の平面へと再構成することで、西側の和室は南北それぞれが独立した寝室としても使えるような、ひと繋がりの座敷が実現。土間キッチン・ダイニング・和室を調理・食事から研修へと、一体となる居場所として変換した。

▲ 写真:鈴木久雄

▲ 写真:鈴木久雄

大部分の屋根、外壁、木製建具のほとんどを既存のままとし、柱・梁・竹木舞土壁・天井・長押・鴨居などもできる限り残すなど、新しく付加する部分と古い部分との調和を心掛けている。

▲ 写真:鈴木久雄

▲ 写真:鈴木久雄

古民家がもつ田の字と付加空間プランの交換可能性を試み、空間を繋げ直すことで、現代のオフィスワーカーの居住・宿泊・研修に応える建築環境を創出。生まれた時から古民家に住んだことのない世代に対して、その歴史を伝えると同時に、未来の仕事や生活をイメージできるような改修を試みている。End