リビングデザインセンターOZONE
「You Make The Rule 再描写を試みる家」展レポート

建築家の谷尻 誠が、リビングデザインセンターOZONEに出現させた白い発泡スチロールの家。それは、

「そもそも家とはどのようなものでできているのか」を問いかける試みである。トレンド会社のペクレール・パリの情報をもとに谷尻が「新しい家の価値」を考え、両者の間で浮かび上がったキーワードが「再描写 You Make The Rule」だったという。

土木用の巨大な発泡スチロールをくり抜いた中へ入っていくと、食事する場だったり、ベッドのようなしつらえだったり。ボイドを出たり入ったりしているうちに、子供の頃に原っぱの木々で、またはダンボールで自分の住処をつくったようなワクワクした気持ちになってくる。子供たちがこの場を訪れたならば喜んで走り回るに違いない、何かを発見していくような楽しい空間だ。

階段を上るとバスタブがあり、トイレがあり、くつろぎの空間があり・・・。ところどころに「この部屋では本を読んだり、文章を書いたりするのでしょうか。落ち着く場所とはどんな場所なのでしょう。距離や音や温度など普段あまり意識しないことについて、もう一度考えてみましょう」といったメッセージが記されている。日頃から「ものから名前をなくすこと」を心がけ、新たな価値観を見出そうとする谷尻らしく、ここでも各空間に、リビング、寝室というような名前はない。

「いつから名前がついたのだろうか。椅子、机、窓、部屋、建物、きっとはじまりは座ることだったり、置くことだったり、穴をあけることだったのではないでしょうか。そんな始まりを考える事で、これからの未来について考えてみましょう」。

けれど、この展覧会メッセージを読むまでもなく、子供も大人も、この空間を歩き回って楽しめば、それが感覚的に伝わってくるに違いない。建築家でない人々に向けた建築的アプローチとして、谷尻の柔軟な発想力に溢れた展覧会だ。


「You Make The Rule 再描写を試みる家」

会  期 12月15日(木)〜2012年1月31日(火)
     水曜、12月27日〜1月4日休館
     10:30〜19:00

会  場 リビングデザインセンターOZONE 3F OZONEプラザ

主  催 リビングデザインセンターOZONE

企画協力 株式会社ワグ ペクレール事業部

*入場無料
*1月13日にセミナー、14日にトークが開かれる。詳細はこちら