竹中工務店は、時々刻々と大きく変化する風が建物に与える影響を数値シミュレーションで高精度に予測する数値風洞「Kazamidori^®」を開発したことを発表した。

この「Kazamidori^®」は、風の強さや流れをコンピュータ上で予測・可視化・するシステム。風荷重（建物が風から受ける力）や風速を評価することで、建築と屋外の風に関するさまざまな問題の解決が図ることができるという。

昨今、日本に上陸する台風は勢力を増しており、「スーパー台風」の増加も懸念されている。そして、台風に強い建物をつくるためには、風荷重を評価し、建物の形状や窓ガラスの面積・厚さ、外装材の種類などに反映させることが必要だ。

これまで高い精度で建物の風荷重を評価するためには、評価する建物とその周辺市街地の模型を作り、実際にその模型に風を当てて測定する風洞実験が一般的だった。しかし、この方法では模型製作に費用と期間がかかり、おもに大規模なプロジェクトでの適用に限られてきたという。

▲ 2019年台風19号上陸時の風の流れの再現結果（2019年10月12日21時頃）

そこで、「Kazamidori^®」ではコンピュータ上で市街地を再現することで、風洞実験に必要な模型製作にかかる費用と期間が削減。中小プロジェクトや設計初期段階で適用することが容易になり、幅広いプロジェクトで活用できるようになるそうだ。

▲ 2019年台風19号上陸時（2019年10月12日21時頃）の風速の比較

さらに、気圧配置などの気象条件を活用した気象解析の結果と連携が可能。これにより、特定の台風が上陸した際の市街地内の気象条件を再現できるようになる。過去の台風の再現だけでなく、今後のスーパー台風の想定など、台風被害リスクの評価に活用することができるとしている。