NEWS | プロダクト / 工芸
2020.09.02 15:30
乾陽亮設計事務所は、滋賀・彦根仏壇「柒+(ナナプラス)」のためにデザインした骨壷位牌「しずく」を公開している。
この「しずく」は、ガラスの内側に天然漆を塗った小さな骨壷位牌。内側にお骨や思い出の品を入れて祀ることができ、そのまま単独で位牌としても祀ることができる製品である。
ガラスは、透明度と屈折率が高く、重量感のあるクリスタルガラスを採用。透き通った水の結晶のような輝きが、重厚さに清廉さを添えている。
漆芸技法の「髹漆」(きゅうしつ)は、創業100年を超える彦根の漆塗り師が担当。透き通った結晶のようなガラスのなかに浮遊する天然漆が遺骨や思い出を優しく包んでくれるという。標準的な黒漆と朱漆に加え、紫の色漆もラインアップ。伝統的な高級仏壇と同じように、ひとつひとつ丁寧に手で塗り上げ、室でゆっくりと乾かして仕上げた。
また、新素材の位牌の場合に課題となるのは文字彫りだそうで、通常の産地では文字を彫れないため、ガラス位牌にはかなりの難度があるとされる。だが、彦根にはガラスに金文字を彫る技術があり、長年にわたってガラス位牌を扱ってきた実績もあったことから、この独創的なガラス骨壷位牌が誕生した。