当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。
“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。
Be informed. Know your risk. Stay safe. pic.twitter.com/t6G71wAHU6
— Texas Medical Association (@texmed) July 3, 2020
今日のトピック
米国テキサス医師会(Texas Medical Association)が、行動の感染リスクの高さを9段階のランクに分類したチャート「BE INFORMED : Know Your Risk During COVID-19」を制作。7月3日、公式ツイッターに投稿されました。
SPREADはこう見る
「BE INFORMED : Know Your Risk During COVID-19」は、コロナ禍における行動可能な範囲を的確に伝えるために制作されました。活動が行われる場所、所用時間、人との距離などを基準に、テキサス州で人気のある夏のアクティビィティを中心にランクを付けています。
具体的な行動に対してのランク付けなのでリスク度が明解です。また、行動の比較もできるので断材料として活かせそうなチャートです。
リスクが高いのは、「バーに行く」「大規模音楽フェスに行く」などがあります。密閉した空間や大人数での密集、そのような場に長時間滞在することが想定されます。中程度のリスクには、「ビーチに行く」「庭でのバーベキューに参加」など、夏期休暇の定番とも言えるイベントが選ばれています。ビーチも人がたくさん集まりそうですが、音楽フェスほどの密度がなく風通しの良さからそれほどリスクは高くないのでしょう。リスクが低いのは、意外にも「キャンプに行く」「テニスをする」といったレジャーが含まれています。テニスはプレイヤー同士の距離が離れていますし、キャンプは遠出はすれど開放感のある自然の中で少人数で行えばリスクは少ないのかもしれません。
やみくもに自粛ばかりをしていては、外出を我慢しすぎて心身に影響を及ぼしかねません。このチャートは、コロナの恐ろしさを理解しきれていない人には危機感を、まったく外出をせず疲れ始めている人には程よい緊張のほぐしを与えてくれるのではないでしょうか。
日本でも「BE INFORMED : Know Your Risk During COVID-19」のようなチャートをつくってほしいと思いました。「Withコロナ」は、つまり「Withコロナの感染リスク」。目に見えない脅威であるコロナウイルスと隣り合わせで生きていくということです。3密が発生しやすい事例はいくつか発表されていますが、外出する機会が徐々に増えている今、より多くの具体的なシチュエーションに対する感染の危険度を示したインフォグラフィックが役立つでしょう。
考えてみると私たちは常にいくつものリスクと背中合わせになりながらも逞しく生きています。過剰な飲食により身体のバランスを壊すリスク、治安の悪い場所で事故や事件に巻き込まれるリスク、背負うリスクの重さはそれぞれ違いますが、コロナウイルスを生活の中のひとつのリスクとして捉え、冷静に向き合うための明確な基準が必要です。しかも信ぴょう性の高い公的機関から発表されたものであれば、より効果があるのではないでしょうか。
Texas Medical Association
テキサス州を拠点とする医療関係のサポートをしている非営利団体。53,000人以上の医師と医学生が所属している。
お知らせ
本連載は、8月12日より16日まで夏休み休刊とさせていただきます。次回の記事は17日(月)になります。ご了承ください。