7月22日、六本木のAXISビル 2Fに新コンセプトのショップがオープンした。リスニング・スタイルの提案をテーマにした、GEM（ジェム）。「宝石」という名を冠した空間では、いったいどのような体験ができるのだろう？

ショップの中央には天井から数本のアクリルの円柱が伸びている。中に陳列されているのは、インイヤー型のイヤフォン。GEMがプロデュースするオリジナル製品の第一弾だ。「所有する悦び」をもたらすことを目指した製品群は、いずれもメイン素材にシルバーを使用。彫刻のような「Soul」、本革との組み合わせも美しい「Shark」や「Snake」。いずれも職人の手仕事で丁寧に仕上げられている。

「Soul」シリーズは音楽に魂を委ね、忘我の境地とも言える表情をシルバー925に彫り込んだもの。見つめていると不思議に気持ちが落ち着き、心の原風景が蘇るかのようだ。非日常の時空間へ誘う未知のパワーを秘めた魂の宿る顔。

「Snake」シリーズはシルバー925に本革を張込み、硬軟のコンビネーションが独特のハーモニーを生み出す。個性的な意匠が強いインパクトを与えている。

GEMという名が示すのは、決してプロダクトのことだけではない。音楽、それ自体を貴い芸術と捉える姿勢が込められている。携帯端末機器が発達した今、私たちの日常には、音楽が手元にあることが当たり前となった。どこでも音楽の世界へアクセスできる便利さはもちろん、好きな建築や満天の星空の下、とっておきの環境に身を置いて、好みのナンバーに浸る愉しさも手にしたわけだ。それゆえ、GEMのショップコンセプトは「音楽とともに過ごす『時間』のデザイン」なのである。

ドイツの職人技が冴えるウルトラゾーン社のハイエンドモデル「エディション・シリーズ」。GEMは、同社製品の日本国内におけるアンテナショップでもある。

店内のリスニングスペースでは、独自開発したバング＆オルフセンの試聴装置を設置。イヤフォンやヘッドフォンの掛け心地や音の感触を、リラックスした雰囲気で確かめられる。和紙の仕切りや本漆喰で仕上げた壁などが醸し出す気配を感じて、心が解きほぐされるような場所だ。

音楽という時空を超える芸術に親しみ、慈しむための「道具」は、音質はもちろんのこと、工芸品として丁寧につくられたものであってほしい。それが、GEMがプロデュースする製品を通して発するメッセージである。道具を変えることで、今まで聴き流していた音楽が全く新しい輝きを持って響くことがある。そんな体験を伝えたい――秋に予定するオリジナル製品の第二弾では、新たな伝統工芸とのコラボレーションや周辺機器の開発も構想されている。

GEM　ジェム
東京都港区六本木 5-17-1 AXISビル 2F
営業時間：12:00～19:00（水曜定休）
Tel: 03-5545-1188