デザイナー Marc Thorpeによる「Citizens of Earth」
21世紀の「国境」の価値を問うインスタレーション

アメリカのデザイナー Marc Thorpeがテキサス州マーファのために提案したインスタレーション「Citizens of Earth」を公開している。

ここはメキシコとの国境に近い砂漠の町で、中心部から約20マイル(約32km)外れた場所を想定。その目的は、21世紀の文脈において「国境」の価値を問うことだという。戦争や貧困、飢え、病気、政治・経済の不安定、テロリズム、環境破壊、人種差別、集団虐殺などは、国境を強化することで生じてきた。

現在、国や社会、コミュニティはますます二極化している。「分割統治」により、違いを強調することで分断が進んでいる。では、国境がなくなったらどうなるか。「私」から「私たち」へと移行するには何が必要か。私たちがみな共通の目的に向かって活動する地球市民となったらどうなるか。そのとき、なにが私たちの新しい統一の目的となるのか。

マーファの砂漠に浮かぶこのインスタレーションは、磨かれたスチール製の円盤で、アメリカとメキシコの国境を穏やかに映し出している。時間帯や光の加減で円盤は見えづらくなり、光と闇、固体と空虚、空と土、アメリカとメキシコの区別もぼやけて風景に同化してしまう。

もし各人がバラバラでなければ、ひとつのまとまった文明を体現しなければならない、というのがThorpeの考えだ。宇宙がボーダレスなら、その構造物のなかでは私たちもそうあるべきである。つまり、この円盤は「地球市民」としての人類を象徴しているのだ。End