NEWS | 建築
2020.01.28 16:33
ジョージア・トビリシにある広大なソビエト式建築の住宅地区に、赤一色のパビリオン「8-23-VI」が完成した。グルダニ第8地区のブロック23、エントランスVIを利用する居住者向けに設計されたことからこの名称がついたようだ。
Tbilisi Architecture Biennialとの共同作業の一環として作られたもので、建築集団「Medium」が設計。ビエンナーレの時間的な枠組みを使いながら、常設となる共用のパビリオンを作り上げた。
計画的に作られ、その後はなおざりにされたグルダニの公共スペースという文脈から、プロジェクトではみんなで使える共有地としてこの空間を再活性化して、ソビエト崩壊後のジョージアに現れた所有や個人といった新たな基準を再考しようとする試みである。
ファサードを回転式パネルの連続とすることで、パビリオンはこのブロックにある室内空間の続きのようなプライベートなゾーンから、よりオープンで話し合いができる公共スペースへと転換。
特製のボールベアリング機構により、パネルは固定用の柱の周りを回転。独特な波形パネルで、端に向かって薄くすることで、パネルを押したり引いたりできる構造となった。日頃からよく使うおなじみの素材を利用しながら、その構成と組み立てによってその価値を高めている。
また、台座部分は波形のブロックと木材でパビリオンを囲み、さまざまな方法で利用するための敷居となる。屋根の真ん中を開口部としてこの縁を際立たせ、台座に高低差をつけることでさまざまな利用形態を促している。