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2020.01.15 17:09
人間の皮膚にはさまざまな感覚が備わっているとされるが、こうした複雑な感覚を把握できる、透明な超伸縮性の自己動力供給式(self-powered)センサーを、カナダ・トロント大学応用科学・工学部の研究チームが開発した。
「artificial ionic skin(AISkin)」と呼ばれるこの素材は、ヒドロゲルとして知られる伸縮性のある物質でできており、逆の電荷をもつ2枚のシートを重ねたものだという。この陽イオンと陰イオンを重ねることで、ゲルの表面には「センシング・ジャンクション(sensing junction)」というものができるそうだ。
たとえばAISkinが引っ張られたり、湿度を感じたり、温度の変化にさらされると、センシング・ジャンクションを介して制御されたイオンの動きが生まれ、これを電圧や電流などの電気信号として計測できるという仕組みだ。
実際、人間の皮膚も神経細胞がイオンを介して情報を伝達しており、その意味では今回の発明もそれほどの違いはなく、さらに、50%とされる人間の皮膚の伸び率に比べて、AISkinは400%も伸び、壊れることもないとしている。
研究チームでは、アスリートがトレーニングを計測したり、手や指のリハビリテーションの経過を観察したり、ロボットが壊れやすい物体をもつのに必要な圧力を測定したりと、ウェアラブルエレクトロニクス、パーソナルヘルスケア、ロボット工学の分野での将来的な活用を期待している。