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2019.10.08 14:43
アメリカ・カナダ国境、五大湖沿岸の「ラストベルト(Rust Belt、錆びついた工業地帯)」は、景気の後退やオートメーション化などで大きな打撃を受けた地域で、現在は脱工業化した経済へと移行しているという。
その結果、かつての産業が残した危険物がどこにあるのか、わかりにくくなっているそうだ。学校を工場跡地に建ててしまい、子どもが重金属やアスベストにさらされたり、公園に再整備したウォーターフロントからは水中に半永久的に残る有害な化学物質が見つかることもあるのだ。
そこで、米ミシガン工科大学の研究チームは、地理情報システムを活用して、脱工業化した都市のハザードマップを作成した。都市部での安全な再開発や、有害物質への曝露の回避を進めるのがねらいだ。
今回は、火災保険や市町村の地図、一般に利用可能な土壌・水質汚染データ、規制区域の情報を盛り込み、そこに時空間データを重ね合わせて、コミュニティ内のホットスポットを特定。
また、この研究からは、ラストベルトにおける移民の物語も浮かび上がってきた。1860年代、1940年代、現代と、移民や有色人種の多いコミュニティは、白人のコミュニティに比べて産業ハザードの近くで暮らしてきたのである。
ともあれ、市町村のコストを削減し、都市計画や政策立案を行う者が環境面で地域社会に貢献するための優れたデータになることは間違い無いだろう。