2id Architectsを率いる岡田宰が手がけた
浜松市のみかん畑の中に建つ住宅「白岩の家」

建築家 岡田宰が率いる2id Architectsが手がけた「白岩の家」は、静岡県浜松市に位置する、山の中腹にあるみかん畑の中に建つ住宅である。

岡田自身が東京と浜松を行き来する2拠点生活を送るなかで、改めて自然の魅力や価値を感じ、「建築と自然の距離感」を考え直した自邸の計画だ。

建物の周囲を覆ったパーゴラ空間は、周辺環境へ拡がる「開放性」を与え、室内空間は山を背にし、斜面に身を委ねるように「安心感」を与えるという、2つの距離感がこの住宅には同居する。

建物はミニマムな長方形ボリュームに抑えつつ、傾斜地を利用して斜面に寄り添うように腰を据え、その一方でパーゴラ空間を最大化して、建物を軽やかに包み込み「建築と自然」をゆるやかに繋げたという。

パーゴラ空間は、生活空間が外部空間へと拡張していくとともに、リビングの延長でもあり、玄関土間の延長でもある。パーゴラによって生まれる美しい影が建物に様々な表情を与え、季節や時間の移ろいを感じさせるそうだ。

外壁は、白い岩でできた石垣が多くある地域の景観に配慮し、地元の砂利等を使用した天然素材の「白モルタル掻き落とし」とした。外壁と同じ素材を室内の壁へ連続して仕上げることで、外と内の繋がりを生み、また、外壁と室内側では掻き落とし方を変えて、凹凸感に変化を加えている。End

▲Photos:矢野紀行