二俣公一が率いるケース・リアルが内装を手がけた
6坪弱の福岡市中央区の鮨店「多㐂川」

デザイナー 二俣公一を中心にインテリア・建築の設計を手がけるCASE-REAL(ケース・リアル)は、福岡市中央区薬院に完成したわずか6坪弱の鮨店「多㐂川(たきがわ)」の内装を担当した。

計画地は元々クリーニング店が入居していた小さな木造平屋の建物で、その敷地形状から不整形な外壁ラインと屋根形状をもっていた。

施主の希望は、職人が中央に位置するカウンター方式にすること。そこでカウンターの形状を外壁ラインに沿わせながら丸みを持たせ、狭小ながらも席数と客席スペースの最大化を試みたそうだ。

客席から厨房の裏機能が至近距離で見えることを避けるように、仕込み作業以外の主な厨房機能はすべてカウンター下に集約させた。

さらに、天井は厨房側から客席に向かって放射状に勾配。天井内のスペースを利用して空調などの設備機器の存在感を最低限に留めつつも、その勾配によって中央のエリアを印象付けるデザインになっている。

素材はカウンターのイチョウをメインに、土壁やヒノキなど落ち着きある同系色で構成。老朽化した屋根はガルバリウム鋼板で葺き替え、外壁はグレーのスタッコで仕上げた。外観は夜景の中に静かに溶け込ませながら、内部は単一の世界観を明快に感じられるような空間に仕上がっている。End

▲撮影:水崎浩志