フィリピンの経済の中心地の1つであるマニラのマカティ中心業務地区（Makati Central Business District）では、Foster + Partnersにとって初めての同国でのプロジェクトが進行中だ。

54階建ての革新的なレジデンシャルタワー「Estate Makati」は、有名なアヤラ・アベニュー沿いの未開発の場所に建設。アヤラ・アベニューの活気と喧騒、さらにはアーダネータ地区の落ち着いた静寂を兼ね備えた、類を見ない居住体験を作り出すという。

コンセプトとなるのは「住めるファサード（inhabited façade）」。外装を立体的な空間とすることで、居住者はまるで建物の外側へと移動できるような体験ができるのだ。バスタブやデスクスペース、ソファベッドはこの特別設計の出窓と一体的で、プライバシーを確保しながら自然光や窓からの景色を眺められるようになっている。

建物の構造は、居住者のライフスタイルの変化に合わせて柔軟に設計されており、天井までの高さは最大4.6m。革新的な二重スラブを採用することで、あいだのスペースを活用できるのが特徴だ。

プロジェクトを率いるスタジオヘッド兼シニアエグゼクティブパートナーのLuke Foxは、「ユニークなロケーションを活かして、居住者のさまざまなニーズに対応するロフトのような柔軟な空間を提供しようと思い、カンチレバーを用いた柱のない構造を設計しました。街のパノラマを背景にしながら、居住者が敷地に入った瞬間から各戸の部屋の流れまでをひとつの旅として体験できる設計にしています」とコメントしている。