NEWS | サイエンス
2019.05.27 16:34
私たちが食物を見て「おいしそう」と感じる食物への「感情処理」は、食べすぎによる生活習慣病をもたらすなど、ヒトの生活において重要な役割を果たしているそうだ。心理学研究では、こうした食物への感情処理が無意識のレベルでも起こることは把握していたが、その神経メカニズムは不明だった。
そこで、京都大学こころの未来研究センター特定准教授・佐藤弥氏らの研究グループは、食物に無意識で感情を感じる脳内メカニズムを解明した。この研究では、日本人22人を対象として、無意識的に(見えないようサブリミナルで)、あるいは意識的に(見えるよう)呈示された食物画像に対する脳活動を「fMRI(磁気共鳴機能画像法)」で計測。
その結果、無意識的と意識的のどちらの条件にも共通して、両側の「扁桃体」が食物画像に対して活動することがわかった。扁桃体は、脳内の感情中枢とされる部位である。
この偏桃体の活動を亢進させる睡眠不足やストレスを避けることで、摂食行動もコントロールできるようになるかもしれないそうで、今後の研究が期待される。