今年は南アフリカと日本との国交樹立100周年
「南アフリカ・マスタークラフター」展が開催

6月のFIFAワールドカップ開催で大きな注目を集めている南アフリカ。サッカーファンの皆さんには、弾丸ツアーなんてのはあまりにももったいないので、ぜひゆっくりと南アフリカそのものを体験していただきたいものです。

実は今年は、南アフリカと日本との国交樹立100周年。そこで7月5日まで、国立新美術館地下1階のミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー」で「南アフリカ・マスタークラフター」展が開催中です。南アフリカで尊敬の念を込めて「マスタークラフター」と呼ばれる、60歳をこえる4名の伝統工芸作家と、伝統的な手法を用いてモダンなスタイルに取り組む若手作家1名による展示です。

世代を超えて継承される南アフリカのものづくり文化と伝統に根差した革新的な取り組みは、われわれの想像以上に繊細かつ創造性豊か。

エリオット・ムキーゼ(1945年生まれ)が取り組むのは、伝統的なズールー族のかごづくり。かつて警備員として働いていたとき、人が杖の手に当たる部分に電話線を巻き付けているをの見て、従来使われている草や椰子ではなく、電話線を使うことを思いついたそう。彼の凄いところは、デザインの下描きなしに、すべての頭の中で思い描いてつくってしまうところ。

レベッカ・マーティベ(1934年生まれ)は古くからの慣習に従って、家の壁を装飾する母親を手伝い、粘土や装飾に慣れ親しんできた。「夢の中に出てきた壷を心の中に描きとめ、作品にする」と語る彼女。成形や装飾にベンダ族の伝統的な技法を用いながら、独自の表現を追求する。

叔母や祖母も陶芸家だったという、サイモン・マスィロ(1936年生まれ)は、当初バスツ族の技法に影響を受けつつ活動を重ねながら、独自のスタイルを確立。現在は、自らの知識と技術を次世代に伝えるため、カスレホング・アート・センターで講師を務める。

エスター・マスラング(1935年生まれ)は、ンデレベ族の伝統的な壁画をキャンパス上に表現し、世界的な評価を受ける作家。アクリル絵具を使って、フリーハンドで描くコントラストの強い絵画は、明るく力強い。

ノンブレセレロ・マブンデュラ(1978年生まれ)は1997年よりワイヤーバスケット(インベンケ)の制作とデザインを学び、身近なものからインスピレーションを得て、独自のスタイルを追求。若手作家として高い評価を得ている。

▲左端がサイモン・マスィロで、かぶっているのはバスツ族の伝統的な帽子。左端が今回唯一の若手ノンブセレロ・マブンデュラ。中央後ろの男性がエリオット・ムキーゼ。

展示作品は購入可能ですが、数に限りありとのこと。ぜひ南アフリカ伝統のものづくりをご覧ください。

「南アフリカ・マスタークラフター」展
場所:国立新美術館B1 「スーベニアフロムトーキョー」
開催日時:2010年4 月21日〜7月5日 10:00〜18:00(金曜〜20:00)火曜日定休
入場料:無料