NEWS | サイエンス
2019.02.26 13:07
ユタ州立大学の機械工学の研究チームは、野球の新しい球種を物理学的に研究しているという。伝統的な4シーム(縫い目)ファストボール(速球)、2シームファストボール、そして新球の改良版2シームファストボールの3つの球種の差異と軌道を計算してそれぞれの流体力学を定義しようというものだ。
ほとんどの投球では、ボールにスピンをかけて方向を変えるマグナス効果(Magnus effect)を発生させているが、ボールの握り方とリリースの仕方が2シームのスピン軸に大きな影響を与える可能性があるという。
2シームでは、縫い目にバックスピンをかけようとしてリリース時により多くの力をかける。4シームは2シームと同じようなバックスピンにはならず、ボールの軌道は違ってくるのだ。また、ピッチングマシンの場合は、4シームと2シームに違いはなかった。
また、トレーニング施設「Driveline Baseball」などは、ボールの片側に滑らかで層状(Laminar)の流れができ、もう一方に渦を巻く流れができれば、2シームの変化を著しく向上できると主張。これには、「ジャイロスピン」とも呼ばれる、回転軸を横にして進行方向に向ける必要がある。
この2シームの改良版はMLB クリーブランド・インディアンスのピッチャー トレバー・バウアー(Trevor Bauer)が「Laminar Express」と呼ぶもの。しかし、この球種では層流面と乱流面が現れることは証明されていなかった。そのため、この球種の訓練を受けた3人のピッチャーでテストを実施。
そして、同大学のParticle Image Velocimetryという空気速度測定システムを用いてLaminar Expressを測定。ボールの後流は、一方の側面で層流、他方で乱流が現れ、横方向の力が生じることが分かったそうだ。