NEWS | サイエンス
2019.02.19 15:13
広大な砂漠でも、アリは迷わずに歩いて行ける類まれな存在だ。このアリにヒントを得て、GPSを使わずに移動できる世界初の歩行ロボット「AntBot」が開発された。
フランス国立科学研究センター(Centre national de la recherche scientifique)をはじめとする研究機関の研究者たちが開発を手がけたこのロボットは、置かれた環境をランダムに調査して、GPSやマッピングなしで自律的に帰還できるという。
その仕掛けは、空の偏光に敏感に反応する天体コンパスで、自動走行車や自律型ロボットのナビゲーションについて新しい方向性を切り開くことができるものだとしている。
実際、アリは偏光や紫外線に敏感で、空間における自分の位置がわかるという。「ウマアリ」という砂漠のアリは、太陽が降り注ぐ場所でも数百メートルの行動範囲があり、食べ物を見つけて、迷子にならずに巣に一直線に戻ることができる。一種の「天体コンパス」を使って空の偏光から自分の方向を定め、さらにその目で光学的に測定した太陽をもとに、歩みを計算したり進み具合を考えたりするのだ。
一方AntBotは、14m走った後でも、最大1 cmの精度で周囲の環境を調査して自力でベースに帰還することに成功。重量2.3 kgで、6本の足で移動性を高めており、災害地域、険しい地形、地球外の土壌探査など、車輪付きロボットやドローンでは行けないような場所も移動できるそうだ。