NEWS | アート
2019.01.24 13:15
マレーシア・クアラルンプールを拠点に活動するデザイナー Pamela Tanは、同市のショッピングモール「163 Retail Park」の展示物で、人工物の不思議さと自然の美しさのあいだの境界を曖昧にした作品「Eden」を公開した。
エデンの園の神話的な物語をモデルとした不思議な風景を、この施設にある豊かな緑と融合させて、自然の要素を表現したもの。安らぎと瞑想の空間として、来場者に日常生活のあわただしさから逃れる場所を提供している。
クリスタルホワイトの小石を敷き詰めた小道には、ビクトリア朝時代の鋼鉄製の温室の構造にヒントを得た、アーチ型の通路を設けた。軽量の骨組構造は1851年のロンドン万博の会場として建てられた鋳鉄製の巨大な建物「水晶宮(The Crystal Palace)」に着想を得たもの。
同作では部分部分の要素が全体と溶け合い、ひとつの構造へと発展しているゆえに、全体を見渡すことでより興味を惹くものになっている。庭の通路にはアーチにぶら下がるつる植物の姿をしており、鍾乳洞の石筍をイメージしたものだ。
また、このぶら下がったつるの先端には、ガラス球が精巧に取りつけられている。これは、雨のあとで落ちそうになっている葉の先の水滴のようである。
ここを訪れる人々がより近くで見ることの喜びを再発見すること、自分の考えを一時中断して子どもに戻ること、そしてほんの少しの間だけ本当に楽園にいると信じることを作者は望んでいる。