マサチューセッツ工科大学の研究者チーム
高解像度・高速で脳をイメージングする方法を開発

▲MITの研究者による提供

マサチューセッツ工科大学の研究者チームは、これまでにない解像度と速度で脳をイメージングする新しい方法を開発した。

このアプローチで個々の神経細胞の位置を特定し、そのつながりをたどり、脳組織の大部分にわたって神経細胞内部の細胞小器官を視覚化できるという。

同大学で神経テクノロジー(neurotechnology)を専門とするEdward Boyden教授の研究室は2015年、一般の光顕微鏡を使用して脳組織の超高解像度画像を作成する方法を開発。撮像前に組織を拡大することで、約60ナノメートルの解像度で組織をイメージングできるようになった。

今回の新技術では、脳組織を拡大して高解像度でイメージングする拡大顕微鏡と、格子光シート顕微鏡として知られる高速3D顕微鏡技術を組み合わせている。大きなサンプルを高速でイメージングでき、他の蛍光顕微鏡技術よりはるかに少ない光損傷で済むとされる。

拡大した組織サンプルをイメージングすると、1サンプルあたり最大で数十テラバイトの膨大な量のデータが生成されるため、データをより小さなチャンクに分割して分析し、つなぎ合わせて一貫した全体にできる高度な並列計算を行う画像処理技術を考案する必要があった。

同チームは組織の大きさを4倍に拡大した後、マウスの体性感覚皮質における神経細胞層をイメージングすることに成功。この技術により、数日で数百万のシナプスを分析することが可能になったそうだ。End