NEWS | サイエンス
2018.12.03 15:53
マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、初めてとなる微粒子が衝突するプロセスの詳細な高速イメージングと分析に成功した。
塗料を吹きつけるとき、微小隕石が宇宙ステーションに当たるときなど、小さな粒子が高速で金属表面に衝突した場合、衝撃の瞬間が速すぎるので、そのプロセスはこれまで十分に解明されていなかった。
MITのポスドク研究者で論文執筆者のMostafa Hassani-Gangaraj氏によると、高速微粒子の衝突は、たとえば塗料の塗布、表面の清浄、材料の切断など、工業分野では数多くの目的に使用されているという。
同氏は、衝突の瞬間に「さまざまな現象が数多く起こりえます」と言う。だが、粒子が一定の閾値を上回る速度で移動するときに、衝突時の短時間の融解が表面の浸食に重要な役割を果たすことを発見したのは初めてのこと。これは超音速で粒子が飛んでいく、超強力なサンドブラストのようなものだ。こうした微粒子によるブラストは、金属表面の強化にも活用できるそうだ。
また、分析結果から、風で運ばれた粒子が風力タービンの羽根に衝突する場合、微粒子が宇宙船や衛星に衝突する場合、あるいは石油やガスが流れるときに運ばれた細かい岩石や砂利がパイプラインの壁を浸食する場合など、衝突が避けられない状況についても解明できるかもしれないとしている。