NEWS | アート / 展覧会
2018.11.14 17:18
ニュージーランドのアーティスト Ben Youngは、同国北島の北東部にある風光明媚な街 マウント・マウンガヌイ(Mount Maunganui)を拠点に活動している。
彼が得意としてきたのは、ガラスやコンクリートを使った彫刻の制作。海から多くの着想を得ており、これまでのエメラルドグリーンのガラス製オブジェにも反映させてきた。
そんな彼が2018年7月に行った展覧会「SHIFT」では、これまでの作風を一変。同国の写真家 Zico O’Neillとともに手がける実験写真と彫刻のコラボで、彫刻と写真の関係性や写真のなかの彫刻について再想像しながら、従来のメディアや風景、展示空間の概念を見直そうとした。
彫刻自体はギャラリーにも展示されたが、この産業的で見たことのないような形状は、外国を思わせる岩場の背景にも自然な文脈で捉えられる。
ニュージーランドの風景はアート作品でよく見られ、鑑賞者には本質的に馴染み深いものだ。それらのノスタルジーとアイデンティティは鑑賞者とアート作品を結ぶ重要な要素だが、これらの作品ではあえて荒れ地で煙が立ちのぼる、見慣れないホワイト島の景色を採用した。
このコラボは矛盾と驚きをひとつにしたものだ。鑑賞者が経験するのは、超現実世界と現実世界の岩場とが一体になった、芸術と宇宙、光と闇、人間と自然という先入観と戯れる2人のアーティストの実験的な試みである。