「シン・インダストリアルデザイン」。
時流に乗っかれば、そんなタイトルもあったのかもしれません。
今号の特集は、変革の激しいさまざまな産業において、デザインを通して新しい価値提案に挑むメーカーやスタートアップ、デザイナーの取り組みに迫ろうというものです。
もちろんここで言う「シン」とは「新」のことです。新発想、新思考、新提案、真解釈など、旧来のインダストリアルデザインに対するイメージを広げる事例をできるだけ多くピックアップしたいと考えました。サービスの仕組みやメタバース空間における「デジタルなモノ」を取り上げているのがそのひとつの象徴でしょう。
大量の生産をともなう物理的なモノだけがインダストリアルデザインという思い込みを一度手放し、柔軟な思考でもって産業とデザイン、人との関係性を捉えなおす。3つの歯車がかみ合えば、必ず社会はより良い方向に変わるはずです。「インダストリアルデザインの未来」をテーマに書き下ろしてもらった太刀川英輔さんの原稿にもそんな想いが溢れています。
産業のグレートリセットの先にどんな新たな景色が広がるのか? 正解のない未来に対して、多様な可能性を模索し、社会にポジティブな影響をもたらすインダストリアルデザインの役割がいっそう高まっていることを感じとっていただければと思います。
こちらの特集は「紙版」だけでなく、「デジタル版」でもご覧いただけますので、興味のある方はぜひご一読ください(残念ながら「劇場版」はありません)。