今号の特集は「nendoとTakram」です。
デザインにおいて多視点を提示している両社は現在、プロダクトデザインにとどまらずサービス開発や事業戦略に至るまでさまざまなプロジェクトを手がけています。海外に足場を広げ、グローバルに存在感を高めているのも両社に共通する点でしょう。
そんなふたつのデザイン組織をあえて「と」でつなぎ、好対照として取り上げたのには狙いがあります。
ひとつは、双方を見比べることで、互いの立ち位置や個性がいっそう際立つと考えたこと。共に「今までにないオリジナルの価値を創造する」という目標を掲げ、スタッフやメンバーが生き生きとワークできるための組織マネジメントにも力を注いでいます。しかし、そのアプローチや手法には独自性が垣間見えます。
もうひとつの狙いは複数の答えを示すことでした。「日本から世界最高のデザイン組織をつくる」。そんな目標に向け、ひとつのルートではなく、ふたつの道筋を示す、あるいはそれぞれの特徴を掛け合わせて、後につづく人たちが新たなルートを自ら開拓できる余地を残したいと考えました。
普段はつながらない者同士が誌上を通じて接点を持ち、似た属性同士で形成されがちなデザイン組織のありさまを少しでも揺さぶることができれば……。アイデアや人の新しい結合によって新たな価値創造を目指すnendoとTakramの活動を通して、これからのデザイン組織のあるべき姿を見出していただければ幸甚です。