エストニアでTallinn Architecture Biennale 2022開催
「スロービルディング」について再考

▲インスタレーション会場 © Kaupo Kalda

エストニア・タリンでは、2022年9月7日(水)から10月31日(月)にかけて、Tallinn Architecture Biennale 2022が開催される。テーマは「エディブル、あるいは建築のメタボリズム」と題し、さまざまなイベントの開催が予定されている。

同展では、キュレーターによる展覧会とともに、インスタレーションコンペ「スロービルディング(Slowbuilding)」も行われる。

▲© Tõnu Tunnel

▲インスタレーションのキュレーター:(左から)Cameron Newnham、Gwyllim Jahn、Soomeen Hahm、Igor Pantic © Evert Palmets

産業化された食品製造に対するカウンターカルチャー的な反応として登場した「スローフード運動」だが、このコンペティションではこれを出発点として、どのようなものをいかにして建築するか再考することを目指している。

ハイスピードな産業化された建設という主流に対して、テクノロジーとスローネスのあいだの関係性を探るようなプロポーザルを求めており、限られた資源のなかで計算能力を増大させた設計や建設を考えるうえで、このスローネスが有効なフレームワークになるという。

▲Gilles Retsin Architecture, 2017. © NAARO

▲© NAARO

こうした新しいテクノロジーはまた、地元の材料を有効に活用したり、伝統的な職人技の可能性を拡張させたり、さらにはグローバルな製造・輸送チェーンや標準化された建築部材の必要性も低減したりできるとしている。

▲Sille Pihlak, Siim Tuksam, 2015. © Tõnu Tunnel

▲© Tõnu Tunnel

たとえば、同じテクノロジーを使うにしても、ファストビルディングの建設を容易にするだけでなく、地元の職人技を育成し、手近な材料を有効に使い、長期にわたって環境に配慮し、なおかつビスポークのデザインを強調できるような手段が重要である。

▲Gwyllim Jahn, Cameron Newnham, Soomeen Hahm Design, Igor Pantic, 2019. © Tõnu Tunnel

▲© Tõnu Tunnel

▲© Tõnu Tunnel

ロボットによるオートメーションや機械学習、MR、高精度の空間キャプチャー、3Dプリントなどが、「スロービルディング」という建築のパラダイムシフトをもたらすと期待しており、さらにはエストニアという文脈も考慮して、同国の林業などがもたらす地元の材料を用いた地域での製造や専門技術の構築も求めているそうだ。End