子供と暮らしを考えるプロジェクト
「コド・モノ・コト」分科会

子供と暮らしを考えるプロジェクト「コド・モノ・コト」分科会のモチヨリべんきょう会(第3回)が先日、東京・中目黒のマックスレイで開催されました。この会は毎回テーマがあり、参加者がふだん使っている道具を持ち寄って、子供といっしょの道具について考えるという会。今回のテーマは「あかり」です。

照明はいろんなカタチが考えられるので、普段使っているものだけでなく、自身が思い入れのある照明のプリントアウトなどを持ち寄りました。上の写真はプロダクトデザイナーの田口裕子さん。

実物を持ってきて披露するケースもあり、コド・モノ・コト主宰の萩原 修さんは、お子さんが小学校でつくったクリア電球の置き式の照明をモチヨリ。照明は使い慣れた環境との違いで印象が変わります。

今回参加の方の専門もさまざま。プロダクトデザイナーをはじめ、建築家、中学校の先生や絵本作家の小林ゆき子さん(上の写真)など、子どもたちの未来をいろんな角度から真剣に考えるということではみなさん気持ちが一緒です。

プロダクトデザイナーの藤田寿伸さんのモチヨリは、染め紙の照明(上の写真)。これは、ご自身が教えている造形教室のワークショッププログラムのもの。子どもたちはとても楽しんで参加していたそうです。

プロジェクトメンバーのひとり、プロダクトデザイナーの磯野梨影さんは今回MC役でした。ご自身のモチヨリは「とてもかわいい!」と思って入手したトード・ボーンチェのランプシェードにもなるタペストリー。お子さんの部屋にしつらえてみて照明を点けたら、部屋全体が黄緑色(?)になり、お子さんの顔色も悪く見えてしまったというエピソード。光は周辺の環境にとても影響を与えるものです。光が、空間の中の構成要素に反射することによって初めて光の存在が伝わるのです。

今回マックスレイからも私を含め3人が参加させていただきました。ということで恥ずかしながら、私のモチヨリはオードブル的料理を数点。

「光はモノに当たって初めて存在が伝わる」という説明をして、会も和んできたところで出しました。先日AXISモバイルトークセッション「ほしいも学校」のときにいただいた”幻のほしいも”を使った一品も用意してみました。

この後にマックスレイから照明のデモをお見せしましたが、蛍光灯、LED、白熱灯、ハロゲンの光の中で、いちばん料理が美味しく見えるのは、みなさん一致してハロゲンだという反応でした。照明の世界は日進月歩でどんどん新しい光源が出てきており、LEDは特にすさまじい勢いでアップデートされています。一般家庭でもLEDという名称がエコロジーと同じレベルで知られてきています。しかし、人が集まり、食を囲んだり、団欒を過ごすとき、精神的にいちばんホッとリラックスできるという点では、白熱光源にまだ追いついていないような気がします。

上の写真はプロダクトデザイナーの片山典子さんのモチヨリ。ランタン形式のキャンドルとキャンドルホルダー。キャンプのときなどに活躍しそう。このキャンドルに火が点った瞬間、集まったみんなの表情が緩んだ気がします。

みなさん、それぞれの「記憶に残るあかり」について、幼少期の思い出などをお話してくれました。とても楽しく微笑ましいエピソードばかり。そんな貴重な話を聞きながら、これからの子供たちの「記憶に残るあかり」がどんなものになっていくのかが興味深いと思い、私たちがその子供たちと何を大事にしていくのか、何を子供たちに伝えていくのか、照明の仕事を日々担っていきながら常に考えていきたいと思いました。(文/マックスレイ 谷田宏江)

この連載コラム「tomosu」では、照明メーカー、マックスレイのデザイン・企画部門の皆さんに、光や灯りを通して、さまざまな話題を提供いただきます。