冬の楽しみのひとつに焚き火がある。コロナ禍になる前には、筆者も自転車雑誌の取材などでキャンプをし、焚き火で煮炊きをすることも少なくなかった。移動手段が自転車なので、オートキャンプのように重装備というわけにはいかない。必然的に焚き火台も、軽いだけでなく、移動時にかさ張らないものを選ぶことになり、国産のモノラル社製「ワイヤーフレーム」を愛用している。
ワイヤーフレームは、ステンレスワイヤーで吊り下げる特許構造の火床が、利用時に箱のような形状に変形し、灰の飛散や落下を防ぐ設計に大きな特徴がある。また、五徳アタッチメントを付けることで鍋やフライパンを載せて調理ができるなど、キャンパーのニーズに応える細かな配慮がなされている。今回、取り上げる「ワイヤーフレーム・ソリッド」は、初代モデルから約10年にしてフルチェンジを果たした後継製品という位置付けだ。
使用時のフォルムは初代とほぼ同じだが、「分解式のステンレスフレーム+特殊クロスの火床」に代わって、「折りたたみ式のアルミ合金フレーム+ステンレスメッシュの火床」を採用。使い勝手を向上させるとともに火床の寿命も延び、さらにフレーム耐荷重が3kgから10kgになるなど、機能面で大きく進化している。にもかかわらず、40cm角の火床サイズを確保したうえで、収納時には長さ30x幅12x厚さ8cmにまとまり、重量増も980gから1,050gへと、わずかな差に抑えた点が素晴らしい。
構造的に火床の熱がフレームに伝わりにくいため、今後は、そこに取り付けられる小型テーブルも用意されるなど、シンプルながら拡張性を備えたこのような製品は、これから日本のプロダクトが目指すべき方向のひとつではないだろうか。