カプセルを海に沈めて海底栽培を行う
農業プロジェクト「Nemo’s Garden」

昨今、世界各地で気候変動の影響による自然災害が頻発している。洪水や干ばつにより、安定した農業を営むことはなかなか難しくなっているかもしれない。こうした課題を解決しようと、イタリアのプロジェクト「Nemo’s Garden」では、水中で農作物を育てる取り組みを行っている。

農業では世界中の淡水の70%を使用しているとされる。しかし、世界のほとんどの地域では降水量が不足したり不安定である。また、産業や都市部でも水資源がますます求められている。その結果、水不足が深刻化しており、農業は限られた水資源で作物を栽培しなければならない。

そこで同プロジェクトでは、イタリア北部ノーリの海に空気を充填した6つの透明なプラスチック製カプセルを沈め、ロープやチェーン、おもりで海底に固定。内部は温室になっており、主に水耕栽培を行っている。水とミネラルを根に供給しながら、コントロールした環境で土壌を使わずに栽培ができるという。

植物の病気を防ぎながら、できる限りの生育条件を確保するために、温度や照明、湿度、二酸化炭素や酸素の濃度をセンサーで常時モニタリング。ラボでは、各カプセルのデータを24時間365日チェックしている。

経済的で長期的に実現できる農業の代替物になるだけでなく、太陽から得た再生可能エネルギーと海水の淡水化によってできた真水を使用することで、環境に優しく自律的なものとなる。また、海洋環境や生態系にはほとんど影響がないそうで、周辺海域の再生にもよい効果をもたらすとしている。

ちなみに最新の情報では、オクラやアロエ、タバコなどが植えられている模様。3〜4週間ごとに収穫を行っているそうで、259本が生育中、46個の種をまいているそうだ。End