NEWS | 建築
2012.09.07 21:30
東京・目黒区美術館で、「長谷川堯の建築セミナー10回シリーズ」として、「村野藤吾から20世紀建築を視るーー複眼的近代建築史のこころみ」が始まっている。
▲ 目黒区総合庁舎。壁面バルコニーのアルミダイキャストと階段 Photos by Ryota Atarashi(冒頭の写真も)
村野藤吾(1891~1984)設計の「千代田生命本社ビル」(1966年竣工)は、コンバージョンを経て目黒区総合庁舎に生まれ変わった。目黒区美術館では、その建築的価値にスポットを当て、「村野藤吾のディテール」展(2004年)を開催したり、毎年定期的に建築ガイドツアーを実施している。
▲ 目黒区美術館が主催する建築ガイドツアー。「コンバージョンコース」「和室集中コース」「子どもコース」など複数プログラムがある
9月1日(土)にスタートした10回シリーズのセミナー「村野藤吾から20世紀建築を視るーー複眼的近代建築史のこころみ」は、このディテール展の際に好評を博した村野研究の第一人者、長谷川堯氏を再び講師に迎え、膨大な量の画像と資料を交えながら、村野建築の魅力を解き明かしていくもの。10回シリーズだが、単発での受講も可能であり、十分堪能できる。
▲ 目黒区総合庁舎。南口玄関に向かうアプローチと茶室 Photos by Ryota Atarashi
このテーマには、従来の「モダニズム建築」の考え方に一石を投じ、時系列や様式を越えて建築世界をとらえ直した村野藤吾の歴史観がある。その「複眼的近代建築史」を長谷川堯氏が考察するもので、すでに第1回は終了したが、2回目以降の参加者を募集している。村野建築を知るうえでも、また、モダニズム建築を再考する意味でも、学びの多いセミナーになるだろう。
▲ 861ページに及ぶ『村野藤吾の建築 昭和・戦前』(鹿島出版会、2011年)でも知られる長谷川堯氏
《1部 村野建築の魅力を知る》
2. 戦後村野の出発点ーー世界平和記念聖堂をめぐる考案
日程:9月16日(日)
3. 村野藤吾の「現在主義」と戦後日本の「近代主義運動」との対立
日程:10月21日(日)
4. 村野藤吾の「和」の本質―自邸を中心に、和風建築をめぐって
日程:11月3日(土)
5. ディテールにやどる魂
日程:11月18日(日)
講 師:長谷川堯(建築評論家、武蔵野美術大学名誉教授、東京造形大学客員教授)
協 力:沢良子(建築史、東京造形大学教授)
佐藤健治(建築家、矩須雅建築研究所代表)
講演時間:午後2時~午後4時(休憩あり、終了時間は伸びることもあり)
参加費:各回1,000円
定 員: 各回70名(先着順)
*申し込み方法や問い合わせは、目黒区美術館「建築セミナー」係まで。
*《2部 世界建築と村野藤吾》は、10月より募集、12月以降開催予定。