今回は、“静脈産業”といわれるナカダイに関係する、皆さんのあまり知らない(であろう)ことをいろいろ紹介します。
1 中古家具のオークション市場
ナカダイでは、毎週1回、リサイクルショップのオーナー向けにオークション、つまり、“競り”をやっています。築地の市場と全く一緒です。たくさん釣り上げた魚を並べて、皆で競るのと同じです。ナカダイで釣り上げたモノ以外、参加する方たちの、「同じ椅子ばかりこんなにいらん、けど戸棚はほしい」と「同じ戸棚ばかりこんなにいらん、けどイスほしい」とをつなぐ大事な場所でもあります。不要なものを他人に売り、必要なモノを買っていく、理想のかたちです。ナカダイは什器を主に取り扱っていますが、家電だったり、個人向けの家具だったり、全国で何拠点かこういう場所があります。皆さんもリサイクルショップに行くと思いますが、持ち込みのお客さんだけじゃ、あんなに量は集められません!!
2 埋め立て処分場
人間だったら墓に入るのと同じで、モノの最後はここです。ゴミで大地をつくるので、数年後、数十年後の周辺環境へ配慮している、というか、しなければならないと法律で決まっています。また、行くとわかりますが、変な匂いはしません。無臭です。ちなみに、紙や木は、腐るので埋めてはいけません。ちゃんと、分別しましょう。
3 中国で見た日本からのプラスチック原料
日本からリサイクル素材という名で送られたモノ。これを見て、プラスチック原料と思う人間がどれだけいるでしょうか。ここから、彼らはPEやPP(第2回参照)など、素材ごとの分別をしていきます。日本で分別するとコストがかかるので、そのまま中国に送って安い人件費で……という経済的理由なのか? 経済理論だけで、倫理観がない現状に途方に暮れる私も一緒に写ってます……。昨今の日本の現状を端的に表している気がしますね。
4 プラスチック燃料の効率的な荷降ろし
別に、変な角度で撮ったわけじゃありません。私たちは、汚れていたりして原料に戻すことのできないプラスチックや紙などを、燃料としてリサイクルしています。トラックにバラで燃料を詰め込みんで、販売します。バラだと降ろすのにひじょうに手間がかかるので、床が上がって斜めにして、自由落下。その発想に驚きます。
5 素材を漁るドリフターズサマースクールの面々
ナカダイには、たくさんのデザイナーや建築家が素材を探しに来ます。そのなかでも、彼らはちょっと異色です。そもそも、テキスタイルデザイナーの安東陽子さんとともに、建築家の藤原徹平さんが来社。ダンスとファッションと建築が一緒にサマースクールやって、最後のダンス公演に使う素材をナカダイさんのモノで……という何だかわからない話。
ジャンルを超えたコラボ。それぞれの専門を生かし、お互いを生かし、期限までにお客さんからお金をもらうビジネスレベルまでクオリティを上げていくという、実社会型サマースクール。さらに、魚を買いに行かせず、釣ってこい!!的な、素材そのものを選ぶところから始める徹底ぶりが良い!! ナカダイという市場で漁った素材がどう料理されてサーブされるのか、来る9月14日~16日まで、神奈川芸術劇場(KAAT)で行われるダンス公演で味わいましょう。
モノの最後をいかに適正に行うかを仕事の中心にしてきたナカダイが、モノづくりの最初の素材を提案する仕事に変化しつつあります。ほぼ毎日、誰かが来てます。素材を見る彼らのギラギラした目はハンターです。ナカダイはたくさんの“肉食系デザイナー”を応援しています。(文・写真/中台澄之)
この連載は株式会社ナカダイ前橋支店支店長・中台澄之さんに産業廃棄物に関するさまざまな話題を提供していただきます。